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1/43キュービック・インチ アメリカ車を1/43モデルでアーカイブ

 

NACORAL CHIQUI CARS もう1台のアメリカ車 '64 FORD GT

当方が入手したナコラル・チキカーズのもう1台のアメリカ車をご紹介します。

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先回、ナコラル・チキカーズのマスタングを再度ご紹介した際に、同シリーズにはもう1台アメリカ車がラインナップされている記したのですが、そのもう1台とは・・・同じフォードのレーシングカー、フォードGTであります。フォードGT(GT40)はルマン24時間レース等で大暴れした事もあり、リアルタイムに近い60年代にも1/43ミニカーで多くのブランドが製品化しています。思いつくだけでもディンキー(FORD GTとFORD 40RVの2種類)、ソリド、メーべ、ピレン(メーべ金型)、ガムダクールなどなど・・・これらに伍してスペインのナコラルもプラ製1/43モデル”CHIQUI CARS”シリーズでフォードGTを発売していたのでした。

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↑このモデルは旧いプラ製品の悲しさで、ホイールに盛大な溶けが発生していました。そのままにしておくべきか悩みましたが、見栄えの良い物でもないので、えいままよとばかり解けてはみ出た部分をカッターナイフで切除しました。ベターなコンディションにはなりましたがもちろん完璧ではありません。同じような事を試される方は自己責任でお願い致します。

ナコラル・チキカーズ(?発音よく分からず)でモデル化されたのは、ルマンで優勝したマークⅡ、マークⅣ、晩年のマークⅠ等ではなくかなり初期のタイプのようです。'64年ルマンに初出場した姿とはフロントカウルの形状が大きく異なり、どちらかというとフロントカウルの形状は最初期のプロトタイプに近く、一方リアカウルはダックテール状のスポイラーが付加された姿となっています。カラーリングも何処かのレースに出場した仕様の再現という事ではなく、雰囲気重視のオリジナルデザインのようです。ストライプの色違い(青)や赤いボディのバリエーションも存在するようです。

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↑初期タイプのフロントカウル+ダックテールのリアカウルという姿はソリド製のモデルと同様でプロポーション等もどことなく似ています。ですが、別パーツのヘッドランプや開閉する運転席ドアはナコラルオリジナルの特徴です。

実はこの最初期風のフロントカウル+ダックテールのリアカウルという組み合わせはソリドの製品と同じ構成であり、ナコラルのモデルのプロポーションはどことなくソリドに似ていなくもない?感じもするのですが、ソリド製モデルがヘッドランプをデカールで表現するという大胆な手法を採っているのに対し、ナコラルはメッキした別パーツが嵌め込まれています。また、リアカウルが開閉してミッドに積まれたエンジンを拝めるのはソリド/ナコラル共通ですが、更にナコラルは何故かドライバー側だけドアが開くという芸当が追加されています。・・・ドア開閉はウエストラインから下だけで、ルーフに切れ込んだ独特の部位はボディ側に残ったままなのはご愛嬌ですが(笑)。

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↑入手した時点ではホイールに重症の溶けが発生し、左フロントは箱の内側に張り付いてしまっていました・・・。

このナコラルのフォードGT、前回のマスタングと同様に海外ネットオクで入手したのですが、ラインアップをイラストで紹介するミニカタログが同封された箱付きではありましたが、このシリーズの欠点であるホイールの溶けが盛大に発生していました。左前輪に至っては、溶けたホイールが紙箱の内側に張り付いてしまっているという有様。更に溶けたホイールはシャシーの内側にも張り付き、板バネによるサスペンション機構が死んでいました。マスタング同様に一度分解し、張り付いたタイヤとシャシーの間に細いマイナスドライバーをねじ込んで引き剥がし、イチかバチかホイールの解けた部分をカッターナイフで切除しました。・・・まあ溶けてはみ出した状態よりはまともなみばえになったかと・・・。この方法は必ずしも上手く行くとは限らないのでオススメはしません。試そうという方は自己責任にてお願い致します。旧いミニカーをオリジナルコンディションで維持するか、レストアをするか・・・悩ましい所であります・・・。

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↑ナコラル・チキカーズシリーズの2台のフォードの揃い踏み。なかなか良い眺めです。マスタングはややベージュがかった白、フォードGTはややグレーがかった白のボディです。

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↑マスタングとフォードGTで箱の大きさが異なります。車種に合わせて箱のサイズを調整していたのでしょうか?

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↑フォードGTの箱にはミニカタログが同梱されていました。表と裏を別々にスキャンして1枚の画像にしました。実際は縦長の紙に1列にラインナップのイラストが並びます。フィット系の車種がセアトになっている辺りにお国柄が感じられます。
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新旧製品で楽しむ1/43モデル ~ Spark / amt Ford GT40 Mk-Ⅱ

先回の新世代フォードGTに続き、今回は往年のGT Mk-Ⅱ、66年のルマン優勝車を新旧製品でご紹介します。

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'63年に計画始動、'64年から参戦を開始したフォードのルマンへの挑戦は、3年目の'66年にして遂に総合優勝、しかもワン・ツー・スリーフィニッシュという華々しい成功を収めるに至りました。その栄えあるルマン初優勝の栄誉にあずかったのが、ブルース・マクラーレン/クリス・エイモンがドライブした漆黒のFORD GT Mk-Ⅱ、カーナンバー2/シャシーナンバー1046号車でした。本来、優勝の栄冠はカーナンバー1、シャシーナンバー 1015号車、ケン・マイルズ/デニス・ハルム組の物となる筈でしたが、ヘンリーフォード2世の指示で1~3位までの3台が連なってのパレード・ゴールを行った結果、予選順位の低かった2号車の方が走行距離が長いという裁定が下され、思わぬ形で順位が入れ替わったのでした。

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↑思わぬ運命の綾で勝利を手にしたブルース・マクラーレン/クリス・エイモン組。2人は共にニュージーランド出身、ブラック&シルバーは同国のナショナルカラーでありました。右フロントフェンダーにはNZのロゴも見受けられます。

このカーNo.2、シャシーNo.1046は栄えあるルマン24時間優勝車という事もあり、1/43に限っても様々なブランドでモデル化されています。当方の手元にもバン、デルプラドイクソミニチャンプスのモデルたちが居るのですが、その後新旧2製品が新たにコレクションに加わりました。・・・先回も記したのですが、去る8月4日、'66年のルマンでこのカーナンバー2を優勝に導いたドライバーの一人であるクリス・エイモン氏が他界されたとの事。その追悼の意味も込め、それらのモデルを一緒にご紹介したいと思います。

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↑低い車高&意外と高い最低地上高、旧い時代のレーシングカーの佇まいが良い雰囲気で再現されていると思います。

先ずはスパークのレジン完成品。当方はGT Mk-Ⅱはミニチャンプスのモデルで終わりにして、スパークのモデルはスルーするつもりだったのですが・・・、お世話になっているショップさんで実物を見たらあっさり自制心を失いました(笑)。スパークの製品はボディが低く、かつロードクリアランスは意外と高い、旧い時代のレーシングカーの佇まいを見事に再現、要所にエッチングパーツを使用した程良い細密感が心地良いです。リアカウルが開閉するミニチャンプス製も嬉しかったのですが、ボディのフォルムはやはり開閉部のないプロポーションモデルの方が安心して見られるようです。う~~ん、ヤバイです。スパークは'66年のGT Mk-Ⅱを続々と発売予定なので、この1台を買ってしまったと言う事は・・・。

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↑降りしきる雨を突いて走るGT Mk-Ⅱ、ドラマチックで味わい深いボックスアートです。

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↑ボディは上下分割のいわゆるモナカ式で、ターンアンダーの強いフォードGTのボディにマッチした構造と言えるでしょう。プロポーション/ディテール共に最良とは言えませんが、却って実車との同時代性を感じさせてくれます。

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↑amt 1/43キットの全容。紙製の外箱、展示用の透明プラケースとインストラクション、各種パーツやデカール・・・簡単ですがエンジンパーツも用意されています。盛り沢山でなかなか興味深いキットです。

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↑amtキットの箱の大きさはこんな感じ。同社の1/25キットの更なるミニチュア化のようで可愛いです(笑)。

そしてもう一つ、長年捜し求めていたのがamtの1/43プラキット。同シリーズは60年代後半の乗用車がメインで、他にはクラス8のトラクターヘッド&トレーラーがラインナップされており、シリーズ唯一のレーシングカーがこのGT40 Mk-Ⅱでした。当方が知り得る限りのamt 1/43プラキットは過去記事にてリスト化しましたが、そのリストで最後まで入手出来なかったのがこのフォードGT。ボディが上下分割式のいわゆるモナカ方式で、正直な所、そのプロポーションは同シリーズの乗用車シリーズのような冴えはみられません。・・・ですが、リアルタイムに限りなく近い時期の製品化であり、味わい深いボックスアートと共に時代の空気を感じさせてくれます。同じ題材でもメーカーや素材、製造時期によってこんなにも味わいが違う・・・それを楽しむのも、また模型趣味の醍醐味と言えるのではないでしょうか。

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帰ってきたFORD GT ~ TSM '15 FORD GT Chicago Auto Show Ver.

今回は新生フォードGTを、嬉しいニュース、悲しいニュースと共にご紹介したいと思います。

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1966年、悲願のルマン制覇を成し遂げたフォードGT、2003年に続き2回目の復活を果たす事になりそうです。新生FORD GTはカーボンファイバーのボディにアルミ製の前後サブフレームという構成で究極の軽量化を達成。フロントエンドや丸いテールランプにオリジナルの面影を宿しますが、キャビンからエンジンルーム、テールエンドへと左右から絞り込まれたボディと後輪が独立しているかのように見える全体のフォルムは初代・2代目とは全くの別物。最新のエアロダイナミックテクノロジーから生み出されたであろう事は想像に難くありません。一方意外なのはそのパワーユニット。伝統のV8ではなく、3.5リッターV6をツインターボやデュアル・フューエルインジェクションで武装。最高出力は600hpを超えていると言われています。市販バージョンは今年後半にデリバリーが開始されるのだとか・・・。

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↑フロントマスクや丸いテールランプに初代の面影を宿す新フォードGT、しかしボディ全体のフォルムは最新の構造やエアロダイナミックにのっとり大きな変貌を遂げています。

さて、この新生フォードGTですが、1966年のMk-Ⅱによるルマン初制覇から50周年にあたる今年、サルトサーキットにも帰って来ました。そして何と復帰1年目にしてLM-GTE Proクラスで初優勝という快挙を成し遂げたのです。ポルシェのリタイヤなどライバルのトラブルに助けられた側面もあったようですが、フェラーリ488GTEや、ポルシェ911RSR、アストンマーチン・バンテージ、そして同じアメリカのコルベットC7Rを相手にしての結果ですから大したものです。出場4台全車が完走、クラス1位・3位・4位を占めたというリザルトも初優勝50周年にふさわしい成果だと思います。

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↑実車の市販開始前にTSMから登場した1/43モデル、実車の複雑なボディ構造、シャープなエッジと曲線が織り成すフォルムを上手く再現していると思います。当方はシカゴ・オートショーに展示されたシルバー&ブラック・ストライプ仕様を入手。・・・3台全部はムリです。。。

モデルはTSM(トゥルー・スケール・ミニチュアーズ社)製のレジン完成品。実車の複雑なボディ形状を手際良く再現、ウインドウの処理や塗装も美しいと思います。実車の市販が開始される前に、早くも3バリエーションが展開済み。最初に発売になったのがブルーメタリックのデトロイトショー仕様、ついでシルバーのシカゴ・オートショー仕様とイエローのLAショー仕様が発売になっています。きっと実車のデリバリーが開始されたら量産仕様も発売になるのでしょうが・・・果たしてお金が廻るかどうか。。。今年のルマン優勝仕様が発売されるならそちらも欲しいし・・・。

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1966年、初めてルマン優勝の栄冠を手にしたMk-Ⅱ(スパーク製)とツーショット。50年後に初挑戦でクラス優勝を成し遂げた新GTの功績は素晴らしいです。・・・一方、ブルース・マクラーレン氏と共にその初優勝のMk-Ⅱ、カーNo.2 1046号車をドライブしたクリス・エイモン氏が去る8月3に日に亡くなりました。2人は共にニュージーランド出身で、ブラックはニュージーランドのナショナルカラーでもありました。

新生フォードGTの活躍に気を良くして、'66年の優勝車であるGT-MkⅡと並べて撮影などしていたのですが、・・・何と言うタイミングか悲しいニュースが舞い込んで来ました。今を去ること50年前、ブルース・マクラーレン氏と共にそのGT-Mk-ⅡカーNo.2、シャシーNo.1046を駆り、数奇な運命の末フォードにルマン初優勝をもたらしたレーシング・ドライバー、クリス・エイモン氏が8月3日に享年73歳で亡くなられたとの事。今年のフォードGTのルマン優勝は彼の眼にはどう映った事でしょうか・・・。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。

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特集後のフォードGT Vol.2 ~Spark Ford GT40 #6 WINNER LE-MANS 1969

間に最新のマスタングを挟みましたが、以前特集した以降に発売されたフォードGTのご紹介その2をお送りします。


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↑有名なガルフカラーのGT40、’68年と’69年のルマン優勝車。実際は同じ1台のマシン、シャシーNo. GT-P1075なので、このように並ぶ事はありません。


今回ご紹介するのはフォードGTの中でも最も輝かしい戦績を残した1台とも言えるガルフカラーのシャシーNo. GT-P1075、有終の美を飾った'69年のルマン仕様です。初期にフォードGTプロジェクトを率いたジョン・ワイヤーが、もう一人のJW=ジョン・ウイルメントと共に立ち上げたJWAから’68年、’69年と2年続けてルマンにエントリーし、同一の個体で2年連続のルマン優勝という快挙を成し遂げました。


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↑すっかり旧式マシンとなりながら、’68年に続き’69年もルマンに勝利したGT-P1075。フォードGTの類稀なるタフネスぶりを象徴する存在と言えそうです。


詳細は過去記事と被るので省きますが、FIAのレギュレーション改訂によって返り咲いたスモールブロックGT-P1075、'69年のルマンではポルシェ908との激烈な死闘を制し、数百メートルの差で勝利した栄光のマシンです。JWAはこの年を最後にフォードGTの使用を止めたので、フォードGT自体のルマン参戦もこれが最後となりました。


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↑モデルはデフォルメの少ない正確なプロポーションなのではないかと思います。やや流麗な方向に調整されたイクソ製とは異なる雰囲気です。


モデルは'68年仕様に続いてスパークが発売した物でプロポーション、フィニッシュ共に美しく仕上がっています。細部のディテールやデカール等、’68との差異も流石レジン製と思わせる物があります。ガルフカラーのパウダーブルーは個人的な好みでいうともう少し彩度が高くても良いような気もしますが、実車を直接見た事がないので正確な所はよく分かりません。


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↑低いアングルで眺めると、フォードGTの筋肉質なフォルムが良く再現されているように思います。


1/43スケールのフォードGTは、今やルマン仕様だけでもプライベーターのマシンを含めかなりの部分がフォローされています。その全てを購入する訳には行きませんが、望み得るなら’67年にMk-4を支援したMk-2Bや、悲劇のマシンであるフォードJを最新技術で製品化して欲しい所です。今後それらが製品化される事があれば、がんばって入手したいなと思います。


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特集後のフォードGT Vol.1 ~MINICHAMPS '66 Ford GT Mk-Ⅱ Le-Mans

昨年初頭にフォードGTの特集を組みましたが、その後重要なモデルが発売されましたのでフォローしておこうと思います。


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↑静岡ホビーショーで初めて試作品を見てからずいぶん待たされましたが・・・その甲斐はある仕上がりです。


昨年の特集や静岡ホビーショーの記事でもお伝えしていたミニチャンプスのフォードGTマークⅡ、少し前になりますが無事に発売されました。スパ1000km仕様などもラインナップされていますが、際限がなくなりそうなので当方はルマン出場車に絞って捕獲。現状、ルマン本戦仕様としてリリースされているのはフォード・ワークスの2台です。


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↑ニュージーランド出身のドライバーコンビで出走し、最終的には勝利を射止めた1046号車。


1台目は有名なルマンウィナー、カーNo.2、ブルース・マクラーレン/クリス・エイモン組のシャシーNo.1046号車。2人のドライバーは共にニュージーランド出身、ボディカラーの黒は同国のナショナルカラーでもあります。ヘンリー・フォード2世の命により1位~3位編隊走行でゴールした結果、走行距離の関係で順位が逆転。2人にとってはある意味タナボタの勝利でしたが、栄えあるルマン優勝である事には変わりはありません。


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↑18時間目にリタイヤしてしまったものの、ポールポジション獲得・トップ快走とワークスらしい走りを見せた1047号車。


もう一台は結果的にはリタイヤに終わってしまったカーNo.3、ダン・ガーニー/ジェリー・グラント組の1047号車。予選でポールポジションを獲得、本戦でもトップを快走しましたが、オーバーヒートからガスケットを破損。18時間目にして姿を消してしまいました。こうなるともう1台のワークスマシン、本来ウイナーとなる筈だったカーNo.1 ケン・マイルズ/デニス・ハルム組の1015も並べたくなってしまいますが、その為にはドライバー側ドアにあるヘルメットのクリアランスを確保するためのコブを無くす必要があります。ミニチャンプスでは今の所、マイルズ車はテストデイ仕様でお茶を濁しています。


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↑まあ、カウルが開いてエンジンが拝めるのはやっぱり嬉しいのですが・・・。


ミニカーの仕上がりはミニチャンプスらしく良好。プロポーションは先発のiXOより優れているように思います。ただ、期待していたリアカウルの開閉はちょっと問題。当方の手持ちのNo.3の方はカウルが完全に閉じず微妙に浮いている上に、調整しようと何度か開閉している内に後部のエッチングパーツが外れてしまいました。(排気管と干渉していたようです。)こんなことなら無理に開閉などせず、流麗なプロポーションの再現に注力してもらった方が良かったかも知れません。


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↑ここまで来ると、カーNo.1も同じシリーズで並べたくなるのが人情ってものです(笑)。


さて、今回のUPを期にフォードGT関係の記事を独立したカテゴリーに分けました。従来"FORD”のカテゴリーで他の車種と混ざっていましたが、今回”FORD GT40"というカテゴリーを追加して一覧出来るようにしてあります。便宣上、フォードJやミラージュM1、P68もこのカテゴリーに含めています。昨年の当方なりの総力特集もまとめて見られるようになりましたので、お時間がありましたら是非ご覧下さい。


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過去のフォードGT関連記事はコチラからもご覧頂けます。


フォードGT40特集は終わった・・・筈だった。。。Spark '68 Ford GT40 #9 Winner Le Mans

前回までの記事で、当方手持ちのミニカーを総動員してのフォードGT特集を終えたばかりですが・・・。


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先回の記事で年頭からのフォードGT40特集を終了、今後発売予定のフォードGT40のミニカーとしてミニチャンプスやスパークのガルフカラーをご紹介したのですが・・・何たるタイミングかスパークの製品が発売となりました。今回発売されたのは’68年ルマンにJWA(JWオートモティブ)がエントリーしたカーNo.9、ペドロ・ロドリゲス/ルシアン・ビアンキ組のドライブで見事勝利を飾った栄光のGT-P1075です。


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↑’68年のルマンウイナー、有名なGT P1075をモデル化したスパークの新製品。レジン製ゆえのシャープなプロポーションと精密なディテールが魅力です。


このあまりにも有名なガルフカラーのGT40は、当方も特集内でご紹介し、お友達のhirokiさんも美麗な画像で紹介下さっているイクソ製の傑作モデルが存在するだけに、スパークがどんな風に仕上げて来るかとても興味がありました。


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↑フロントピラーの立ち具合やキャビンとボディの比率などディフォルメの少ないプロポーションのように感じます。


各部にエッチングパーツなどを多用して細密な仕上がりになるであろう事はスパークの他のモデルからしても容易に想像がつきましたが、注目はボディそのもののプロポーションでしょう。イクソのモデルはある意味実車以上にグラマラスで美しいボディラインを持っていますが、スパークはより正確なスケールダウンになっているように思います。・・・といっても実車をまじまじと見た事がないので個人的な印象でしかありませんが。。。


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↑有名なガルフカラーはパウダーブルーがかなり淡い感じの色合いとなっています。


フロントピラーの立ち具合やボディとキャビンの比率、車幅の感じなどかなり正確な再現がなされているように思います。フォードGTというクルマの持つ武骨でマッチョな雰囲気がよく再現されています。ノーズ部分の左右の絞り込みが強いように感じますが、実車に忠実なのかディフォルメなのかは当方には判断がつきませんでした。またガルフカラーのパウダーブルーの表現もイクソとはかなり異なっています。明度が高く、逆に彩度は低目でかなり淡い感じのブルーです。この辺りは好みが分かれる部分かも知れません。


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↑イクソのモデルとの画像比較は敢えてやめておこうと思います。


スパークのGT40、全体としてはやはり期待に違わぬ素晴らしいモデルでありました。ではイクソのモデルが色褪せてしまうか?と言うと当方は否ではないかと思います。レジン製で精密なスパークのモデルに対し、ダイキャストらしいデェフォルメと省略の美学を感じさせるイクソ、そしてよりシンプル・素朴な古(いにしえ)のモデルたちまで―。1台のクルマを様々な味わいで楽しめるのは、実車ファン、模型ファンとして幸せな事ではないかなと思います。


(出来る範囲で・・・)総力特集!! フォードGT40 Vol.10; (最終回)1969年 最後の晴れ舞台

最後の最後に出張で間が空いてしまいましたが、、年初からお送りしてきたフォードGT40特集もいよいよラストです。


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↑毎度の事ですが・・・フォトレタッチでランプ類を光らせています。実際のミニカーは点灯しません(笑)。


1969年、デビューから6年が経過しすっかり旧式マシンとなっていたフォードGTには、もはや活躍の場はないかに思われました。しかしミラージュM2の開発が思うように進まなかったJWAは、この年のマニファクチャラーズチャンピオンシップの前半戦に引き続きフォードGTをエントリーさせます。’67年にミラージュM1として誕生し、’68年にフォードGTに先祖返りした1074/1075の2台は参戦3シーズン目となる大ベテランでしたが、68に製作された1076を加え、熟成の進んだ3台のフォードGTはポルシェ908やフェラーリ312Pを相手に善戦。1075がセブリング12時間で、1074もBOCA500マイルでそれぞれ勝利を上げました。


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↑イクソのフォードGTは、本当に何度見ても惚れ惚れします。


その後のレースにはJWA期待のミラージュM2がようやく投入されましたが、ロングディスタンスのルマン24時間はM2の搭載するコスワースDFVエンジンの耐久性に不安がありました。そのためここへ来て再びフォードGTの登場となったのでした。1074はBOCAでの優勝を手土産に引退、ルマンには1075 カーNo.6 ジャッキー・イクス/ジャッキー・オリバー組、1076 カーNo.7 デビッド・ホッブス/マイク・ヘイルウッド組の2台をエントリー。もっともレースペースではもはや最新鋭のポルシェ917/908、フェラーリ312Pに太刀打ち出来るとは考えておらず、手堅く走って出来る限り上位入賞を図るという戦略が練られていたようです。


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↑’68年型はルマンにエントリーしたJWAのマシン全3台が製品化されていますが、’69年に3位入賞と健闘したNo.7(GTP-1076)は製品化されていません。(・・・と思います。)出来る事ならウイナーのNo.6(GTP-1075)と並べたいのですが・・・。


この当時のルマン24時間レースはルマン式スタートと呼ばれる、コースグランドスタンド前右側にずらりと並べられたマシンにスタートの合図と同時にドライバーが駆け寄ってマシンに飛び乗りスタートするという方式を採っていました。この年もスタートと同時に全ドライバーがマシンに駆け寄り・・・と思ったら、カーNo.6のイクスはゆっくりとマシンに歩み寄り、他のマシンがスタートした後にゆっくりと走り出しました。前年のウィリー・メアレスのフォードGTのクラッシュのように、このルマン独特のスタート方式は様々な危険性を孕んでおり、イクスのこの行動は危険なルマン式スタートに対する批判を込めた物だったと言われています。(翌年からこのルマン式スタートは廃止された。)


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↑敵ながら天晴れ。フォードGTと最後まで死闘を繰り広げたポルシェ908ラングヘック。最新鋭マシンの917ではなく、熟成の進んだこちらが生き残る辺りがルマンの過酷さを物語っています。モデルはエブロ製でこちらも良い出来です。後に同じ仕様がミニチャンプスからも発売されました。


レースはやはり、終始ポルシェがリードする形で展開します。対するJWA陣営のフォードGT2台も快調に走行を続け、最後尾からスタートしたイクスのNo.6も着実に順位を上げていました。そして残り4時間となった頃、波乱が起きました。トップを走行していたポルシェ917がトラブルにより大きく後退、2位の908もトラブルによりリタイヤしてしまったのです。ここでトップに立ったのがNo.6 イクス/オリバー組のフォードGT。それをハンス・ヘルマン/ジェラール・ラルース組のNo.64 ポルシェ908が猛追する形となり、ここにルマン史上でも稀に見る大接戦が展開される事となりました。


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↑こちらは同じイクソのフォードGT '69仕様ですが、上の通常品と異なりルマン24時間レースを扱った欧州の書店系アイテムの物。金型は同じですが内装やエンジンルームの彩色が省かれるなどコストダウンが図られています。


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・・・ところがこの2台、それ以外にデカールの1部に違いが。。。画像下が通常品、上が書店系モデルですが、ゼッケンNo.の書体、リアカウル上部のゼッケンサークルの形(通常品は1部が直線状に切り欠かれている。)、リアカウルのタイヤの前の部分などが異なります。・・・どちらが考証的に正しいのかは・・・あまり詮索しない方が幸せかも(笑)。


2台はコース上でも抜きつ抜かれつ、ピットインのたびに順位を入れ替えるという攻防を繰り返し、とても24時間レースの終盤とは思えないような熱い闘いを繰り広げます。カーNo.7も2台の間に割って入りNo.6をサポートします。そしてそのままレースは最終ラップに突入し・・・最後はイクスのカーNo.6がトップでゴールラインを越え、フォードGT40 P1075に2年連続のルマン優勝をもたらしました。24時間を走りきって2位との差およそ百数十メートルという僅差での勝利。同一個体のマシンが2年連続で勝利するのはルマン史上では初の快挙でした。さらにNo.7も908に次ぐ3位入賞と言う、有終の美を飾るにふさわしい活躍を見せました。


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↑'66年から4年間に渡り勝利を飾ったフォードGTたち。こうして並べて楽しめるのは模型ならではと言えるでしょうか。


誰もが予想しなかった旧型マシンの勝利。こうして、フォードGTのルマン挑戦の歴史は幕を閉じました。この後はポルシェの黄金時代が続く事になりますが、フェラーリとの闘いを軸としたフォードGTの活躍は、ルマン史上の輝ける1ページとしてその歴史に留められてゆく事でしょう。


●今後発売予定のフォードGT40ミニカーについて


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↑2011年の静岡ホビーショーに展示されていたミニチャンプス製のFORD GT Mk-2。今の所ルマン本戦仕様でアナウンスされているのは#2と#3の2台。


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↑スパークからはイクソと同じガルフカラーのMk-1が・・・。画像は1/18ですが、'68の#9は1/43もアナウンスされています。1/18では今回の'69 #6も予定されているので、1/43に展開される可能性があるかも!?


お送りしてきたフォードGT特集は今回で終了ですが、1/43でもこの先まだまだ製品化の予定があります。先ずなんと言ってもミニチャンプスのMk-2!!昨年の静岡ホビーショーで見てからず~~~っと待っているのですが・・・そしてスパークからは’68年のカーNo.9が予定されています。ガルフカラーはイクソの傑作があるだけに、スパークがどう料理して来るか興味津々です。不確定情報ですが、イクソは’67年にMk-4をサポートしたMk-2Bを発売するかもしれません。他にもバリエーションモデルを中心に色々新製品が出てくるのではないかと思います。何か新しい物を入手したら、またご紹介したいと思います。


(出来る範囲で・・・)総力特集!! フォードGT40 外伝; 儚くも美しき英国フォードのマシンたち

年初からお送りしてきたフォードGT特集、今回は外伝として英国フォード製のマシンをご紹介します。


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●はかなくも美しき・・・FORD P68


アメリカ本国のフォードは'67年をもってワークス活動を終了しましたが、入れ替わりに子会社である英国フォードがグループ6の3リッタープロトタイプでFIAのマニファクチャラーズ・チャンピオンシップにエントリーする事となりました。マシンの開発にはフォードGTやミラージュで手腕を発揮したレン・ベイリーを迎え、車両製作はアラン・マン・レーシングが担当。フォードGTもビックリの開発期間5カ月で完成に漕ぎ着けました。


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↑極めて流麗なフォードP68。No.7はフランク・ガードナー/リチャード・アトウッド組で本戦に出場しますが・・・。トラブルが続出して僅か6周でリタイヤ。No.8とはノーズ形状が僅かに異なっています。


アルミモノコックノボディにF1用のフォード・コスワースDFV 3リッターDOHC4バルブエンジンをデチューンして搭載。そのボディデザインはレーシングマシンとしては極めて流麗かつエアロダイナミクスに優れる物で、CD値0.27というスペックは'68年当時のクルマとしては異例ともいえる物でした。P68と言う名称は’68年のマシンである事を意味しています。


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↑予選でクラッシュしてしまったNo.8。ペドロ・ロドリゲス/クリス・アーウィン組で出場する予定でした・・・。ミニカーはミニチャンプス製で、良好なプロポーション、安定した仕上がりです。


ご紹介しているミニカーは’68年のニュルブルクリンク1000kmに出場した2台。・・・と言っても実際に本戦に出場したのはカーNo.7のみで、カーNo.8の方は予選でクラッシュ。イギリス期待の若手レーサー、クリス・アーウィンが重傷を負って引退を余儀なくされるという痛ましい結果に終わりました。本戦に出場したNo.7も、様々なトラブルが噴出して6周でレースをおえてしまったようです。残りの’68年シーズン、優勝直前まで善戦したレースもありましたが、結局P68は大きな戦績を残せぬままに終わりました。翌年の’69年には前後に巨大なウイングスポイラーを生やした異形のマシン、P69へと生まれ変わりますが、こちらも大きな成果を上げる事無くレースシーンから姿を消してしまいました。


 


●ご存じですか?FORD GT70


フォードGTと言えばルマンをはじめ60年代のレースシーンで大活躍したGT40は有名ですし、HWで製品化されたコンセプトカーのGT90をご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。・・・ではGT70と言ったら?皆さんはご存知でしょうか?




YouTube: Ford GT70


フォードGT70はサーキットで大暴れしたGT40とは異なり、ヨーロッパフォードがラリーフィールドに向けて開発していたクルマです。’60年代、フォードはエスコートでWRC選手権を戦い高いポテンシャルを発揮していましたが、モンテカルロなど高速ステージの多いコースではアルピーヌA110やポルシェ911に対して劣勢を強いられていました。そうしたいわばラリー用スペシャルマシンとも言えるライバルへの回答として市販をも視野に入れて開発が進められていました。GT70の意味は車高が70インチ・・・ではなく(笑)、開発年次の1970年を指しているようです。


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↑コンパクトなミッドシップスポーツとしてなかなか魅力的なまとまりを見せるフォードGT70。量産されていたら、ランチア・ストラトスの強力なライバルになっていたかも知れません。


GT70に関する情報はネット上でも少ないのですが、コンパクトなモノコックのミッドシップクーペで搭載エンジンは最大3L V6までを検討していたようです。開発にはスポーツダイレクターのスチュアート・ターナーと共にフォードGT40や↑P68でも手腕をふるったレンベイリーが関わったとされています。スタイリングはやや腰砕け感があるものの(笑)、70年代を見越した直線的で近代的なものです。(このクルマをベースとした全く別デザインのコンセプトカーも存在。)コンパクトなミッドシップスポーツ―カーとしてなかなか魅力的ではないかと思います。


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↑シンプル極まりない造りのミニカーはイタリアのポリトーイEシリーズの1台。他にコーギーもこのクルマを製品化していたようです。今日では歴史に埋もれてしまっている感もありますが、当時は注目を集めたクルマだったのかも知れませんね。


様々な記述を総合すると、6台分のシャシーと実走可能なプロトタイプ3~4台が製作され、数戦のラリーに出場した実績があるようです。前述の通り市販化も視野に入れた開発が進められていましたが、収益性の悪いスポーツカー生産に反対する労組のストライキなどにより、残念ながらその計画は凍結されてしまったと言う事のようです。


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↑ホント、この手のマイナーなレーシングカー/スポーツカーを造らせたら、ポリトーイの右に出るものは無いかもです(笑)。


アメリカ本国のフォード本体のようにビッグ・マネーを投入出来なかった事もあってか、英国フォードのマシン達は大きな成果を残す事無く消えてしまいました。しかし、そのスペックやポテンシャルには侮りがたい物が感じられ、開発や熟成が更に進んでいたら・・・と、ミニカーを眺めながらついそんな想いを巡らせてしまいました。


(出来る範囲で・・・)総力特集!! フォードGT40 Vol.9; 1968年スモールブロックGTの檜舞台。

ミラージュに続き、いよいよガルフカラーのGT40登場です!


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1967年、Mk-4によるマシン・ドライバーオールアメリカンでの勝利によりルマン2連覇を飾ったフォードは、ヨーロッパでの知名度と企業イメージ向上という目的を達したと判断、ワークス活動から手を引きました。時を同じくしてフォードやシャパラルなどアメリカ製大排気量マシンの進出を懸念したFIAは、マニファクチャラーズチャンピオンシップのレギュレーションを改定。グループ6のプロトタイプカーは3L(リッター)まで、グループ4のスポーツカーは5L(リッター)までという排気量制限を設け大排気量車の締め出しに掛かります。


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↑スモールブロックのGT40初のルマン勝利と、これまた初めてフォードにマニファクチャラーズチャンピオンシップをもたらしたP.ロドリゲス/L.ビアンキ組のNo.9(1075)。ネット上でも多くの方がこのイクソ製モデルを称賛していますが、当方も全く同意。完成された最終形GT40を実車以上のセクシーさで再現しているように思います。個人的には細部ディテールの作り込みよりも、ボディのフォルムや実車の印象を的確に捉えている事がスケールモデルにとって最も大切な事ではないかと思います。


この煽りをまともに喰らったのがJWA(・・・とフェラーリ)でした。’67年に出場させたミラージュM1はフォードGTとは別のクルマと認識されてしまい、68年も出場させるためには、プロトタイプカーとして排気量を3L以下に抑えるか、排気量5L以下のスポーツカーとして50台以上を生産し、新たにホモロゲーションを取得しなければならなくなったのです。レギュレーション改定に合わせて次世代マシンであるミラージュM2の開発に着手していたJWAは、古いフォードGTベースのM1にそうしたリソースを投入する事は得策ではないと判断。苦渋の決断として、進化・改良版として登場したM1を、ルーツでありホモロゲーション取得済のフォードGTへと戻す事としたのです。


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↑惜しくもリタイヤに終わったP.ホーキンス/D.ホッブス組のNo.10(1074)。No.9よりもシンプルな塗り分けが、それはそれでカッコ良い1台。太いタイヤをカバーする抑揚のあるフェンダーを持ったスモールブロックのGT40は、美しいとさえ言える完成度の高いマシンだと思います。


こうして3台製作されたミラージュM1の内、1号車であるM10001がそのままの形で残され、M10002がフォードGTP/1074に、M10003がGTP/1075へと”先祖返り”しました。それまでのフォードGTと異なり、ルーフセクションはスチールからアルミ製となり、前後カウルもFRPから当時最先端の素材であったカーボンファイバー製に変更されて軽量化、エンジンもシーズン途中からレギュレーション一杯の5Lに変更されパワーアップが図られました。プロトタイプの排気量が3Lに制限された事により、フォードと共にフェラーリも姿を消したチャンピオンシップは、いよいよポルシェの時代を迎えるかに見えましたが、意外や熟成され信頼性も高くなったフォードGTは善戦し、BOAC500マイル、モンザ1000km、スパ・フランコルシャン1000km、ワトキンズ・グレン6時間に勝利。マニファクチャラーズタイトルはルマンへともつれ込みます。


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↑こちらは同じく’68年のルマンに出場したウィリー・メアレス/ジャン・ブラトン組のNo.8(1079)。有名なルマン式スタートで焦ったメアレスはドアをきちんと閉めないままマシンをスタートさせ、ユノディエールのストレートでドアを閉めようとしてクラッシュ。1周目を走り切れずにリタイヤとなり本人も重傷を負ってしまいます。ミラージュM1のようなフロントスポイラーの付いたカッコ良い個体なのですが・・・これをダイキャストで作り分けたイクソもマニアックです。


そして迎えた9月、JWAは1074, 1075に新造の1076を加えた3台体制でルマンに臨みました。その陣容はカーNo.9(1075)にF1での怪我により出場できなくなったイクスに代わりペドロ・ロドリゲス/ルシアン・ビアンキ組、カーNo.10(1074)にポール・ホーキンス/デビット・ホッブス、カーNo.11(1076)がブライアン・ミューア/ジャッキー・オリバー組。最大のライバルはやはりルマン・スペシャルのラングヘック(ロングテール)908や907を擁するポルシェ軍団でした。予選でも908が1~3位を独占しその強さを見せつけます。しかし長い本戦ではそのポルシェにリタイヤやレギュレーション違反による失格車両が出てワークス勢を中心にほぼ壊滅状態となってしまいます。


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↑やはりガルフカラーのフォードGTはカッコ良いですね。イクソはこの年のマシンはNo.11(1076 )も製品化していますが・・・残念ながら当方は未入手です。


対するJWAのフォードGTも、まずNo.11が12周目のコースアウトの後にクラッチトラブルでリタイヤ、次いでNo.10がエンジンブローによりリタイヤしてしまいます。しかし唯一残ったNo.9は順調に周回を重ね、2位のポルシェに5周の差をつけて優勝。フォードワークス時代のMk-2やMk-4は7Lエンジンパワーに物を言わせて勝利を得ましたが、JWAの1075は’65年以降脇役に甘んじてきたスモールブロックのフォードGTとして初のルマン優勝を勝ち取り、同時に年間を通じたマニファクチャラーズタイトルを初めてフォードにもたらすという快挙をも成し遂げました。・・・そして栄光の1075は翌’69年のルマンでも劇的な活躍を見せる事になるのです。


― 以下、外伝を挟んで(出来る範囲で)総力特集!! FORD GT40 Vol.10に続く。―


1968年 フォードGTルマン出場車リスト


●JWA(JWオートモティブ)


No.9 (GT40P/1075)  ペドロ・ロドリゲス/ルシアン・ビアンキ 優勝


No.10 (GT40P/1074)  ポール・ホーキンス/デビット・ホッブス リタイヤ6位


No.11 (GT40P/1076) ブライアン・ミューア/ジャッキー・オリバー リタイヤ9位


●クロード・デュボア


No.8 (GT40P/1079) ウィリー・メアレス/ジャン・ブラトン


●ストラサヴェン


No.12 (GT40P/1078) マイク・サーモン/エリック・リデル



(出来る範囲で・・・)総力特集!! フォードGT40 Vol.8; 1967年ルマン、もう1つのストーリー。

今回はFORD GTをベースにしたガルフカラーのマシンをご紹介します。


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先回も記した通り、'67年のルマンにはMk-4, Mk-2B, Mk-1合わせて10台のフォードGTが出場しましたが、その他にフォードGTをベースとしたマシンが2台エントリーしていました。この2台のマシンを出走させたのはJWA(JWオートモーティブ)、オーナーの一人は初期フォードGTプロジェクトでFAV(フォード・アドバンスド・ビークルズ)のマネージング・ダイレクターとして開発に携わったジョン・ワイヤーその人でした。


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↑スモールブロックのフォードGTをベースに空力改善と軽量化、大排気量化によるパワーアップを図ったミラージュM1。キャビンの小さい独特のプロポーションが特徴的です。カーNo.14はデビット・パイパー/ディック・トンプソン組の10001。スタートからおよそ4時間後に吸気バルブ破損でリタイヤ。


ルマン初挑戦の’64年、フォードGTの戦績が全レース全車リタイヤという残念な結果に終わると、フォードはワークス活動をシェルビー・アメリカンに委ね、FAVはホモロゲーション取得のための50台のフォードGT生産やプライベートチーム向けのアフターサービスなどバックアップ業務に回されてしまいます。そしてシェルビーアメリカンを中心とした活動で成果の出た’66年にFAVが解散されると、ジョン・ワイヤーはFAVの設備一式を譲り受け、もう一人のJ・W=ジョン・ウィルメントと共にJWAを立ち上げて独自にレース活動を行う事となりました。


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↑モデルはビザールのレジン完成品。特異なプロポーションをよく捉えています。2台の'67ルマン出場車の他、同年のスパ・フランコルシャン1000km優勝車も製品化。


一方、レース活動には莫大な資金が必要となりますが、ここで大きな役割を果たす事になるのがアメリカの石油会社、ガルフオイルでした。きっかけは’66年、当時ガルフオイルの副社長であったグラディ・デイビスがFAVから1台のフォードGT(1049)を手に入れた事に始まります。フォードGTによるレース参戦により、モータースポーツにおける企業宣伝効果の大きさを実感したデイビスはJWAへのスポンサードをガルフオイルに提言。それが承認され、以降JWAとガルフの密接な関係が続く事となりました。


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↑No.15は後に”ルマン男”の異名を取る事になるジャッキー・イクス/ブライアン・ミューア組の10003。しかし、この年は2時間そこそこでヘッドガスケットを破損しリタイヤ。


最終的にはオリジナルマシンでの参戦を目論んでいたJWAでしたが、初年度はフォードGTをベースとしたマシンで参戦する事とし、ミラージュM1が誕生します。ミラージュM1はスモールブロックエンジンのフォードGT Mk-1をベースとして”ルマンノーズ”をデザインしたレン・ベイリーを中心に開発が進められ、ルーフセクションのアルミ化による軽量化、曲率の高いフロントウインドシールドや効率的なNACAインテークダクトによる前面投影面積の縮小、空気抵抗軽減が図られていました。エンジンはフォードGTのスモールブロック4.7L(289cu.in.)を排気量アップした5Lやホールマン&ムーディーの5.7Lが搭載されました。


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↑ここまでフォードGT系のバリエーションを揃えてくれたビザールには本当に感謝です。・・・スパークと合わせ、まだまだ予定されている製品があるようです。


ミラージュM1は最終的にM10001, 10002, 10003の3台が製作されましたが、先ずは4月のルマンテストデイに10001と10002の2台が参加。スモールブロックのスタンダードなフォードGTに対し1周12.2秒も速いタイムを叩き出し、5月のスパ・フランコルシャン1000kmレースではジャッキー・イクス/ディック・トンプソン組の10003が優勝するなど、早々にそのポテンシャルの高さを見せつけました。そして迎えた10月のルマン、JWAはカーNo.14(10001)デビット・パイパー/ディック・トンプソン組とNo.15(10003)ジャッキー・イクス/ブライアン・ミューア組の2台をエントリーしました。


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↑ミラージュM1 M10003号車はルーツとも言うべきフォードGT 1075へと生まれ変わり'68年シーズンを戦う事になります。


・・・しかしJWA & ミラージュM1のルマン挑戦はあっという間に終わってしまいました。まずイクス/ミューア組のNo.15が2時間目にヘッドガスケット破損によりリタイヤ。パイパー/トンプソン組のNo.14も3時間目の終盤に吸気バルブ破損でリタイヤと、2台揃って早々に姿を消してしまったのでした。・・・翌'68年シーズンはアメリカ車の進出に脅威を感じたFIAがエンジン排気量に制限を設けた事により、ミラージュM1もそのままでは参戦できない状況となってしまいます。フォードGTの進化・改良型として誕生した3台のミラージュM1の内、10002と10003の2台は数奇な運命を辿ってルーツであるフォードGTへと生まれ変わり、大きなドラマを生む事になるのです。


― 以下、(出来る範囲で)総力特集!! FORD GT40 Vol.9に続く。―


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昭和41年丙午(ひのえうま)年生まれ

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